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産女の幽霊

産女の幽霊

百物語

そのむかしむかし、麹屋こーじや町(こうじやまち)という所に、一軒のアメ屋がありました。

ある夏の夜の事、店の戸をトントンと叩くたたく者がいるのでアメ屋の主人しゅじんが戸を開けるあけると、外に青白い顔をした若い女の人が立ったっていました。

夜分やぶん、まことにすみません。これでアメをわけてください」

女の人はそう言っいって、一文いちぶん(いちもん→30円ほど)を差し出しさしだしました。

「はい、ではこれを」

アメ屋の主人しゅじんがアメを手渡すてわたすと、女の人は無言むごん立ち去ったちさって行きました。

それから女の人は、次の日もその次の日も、決まっきまって夜遅くにアメを買いかいました。

ある晩の事、毎晩まいばん来るくる女の人を怪しく思っおもったアメ屋の主人しゅじんは、アメを買っかっ帰るかえる女の人の後をつけて行きました。

女の人は麹屋こーじや町を抜けぬけ光源寺こーげんじ(こうげんじ)と言ういうお寺おてらの門の前まで来るくると、いつの間にか姿を消しけしてしまいました。

(どこへ行っいったのだ?)

アメ屋の主人しゅじんはきょろきょろと辺りあたり見回しみまわしましたが、女の人はどこにもいません。

お寺おてら不気味ぶきみなほどに、静まりかえっしずまりかえっています。

(おっかねえな。帰ろかえろうかな)

アメ屋が帰ろかえろうとすると、突然に暗やみくらやみから赤ん坊あかんぼー泣き声なきごえ響きひびきました。

「オギャー、オギャー」

「ヒェーー! た、たすけてくれー!」

びっくりしたアメ屋の主人しゅじんお寺おてら本堂ほんどー駆け込むかけこむと、ていた

和尚おしょー

(おしょう)さんを起こしおこしました。

和尚おしょーさんも赤ん坊あかんぼー泣き声なきごえ気づくきずくと、二人は泣き声なきごえのする方へ行きいきました。

するとその泣き声なきごえは、数日前に死んしんだ女の墓の中から聞こえるきこえるではありませんか。

二人がその墓を掘り起こすほりおこすと、何と埋めうめられた女の死体したいから赤ん坊あかんぼー生まれうまれていて、アメ屋の主人しゅじんが女に売っうったアメをしゃぶっていたのです。

あの女は、この赤ん坊あかんぼー母親ははおや

幽霊ゆーれい

(ゆうれい)だったのです。

「何とも、不思議ふしぎな事があるものだ」

和尚おしょーさんは赤ん坊あかんぼー引きひきとると、死んしんでなお赤ん坊あかんぼー産んうん育てそだてていた母親ははおやの供養(くよう)をしてやりました。

さて、それから数日後の事、アメ屋の主人しゅじん枕元まくらもとに、あの女の幽霊ゆーれい現れあらわれたのです。

女の幽霊ゆーれいはアメ屋の主人しゅじんに深々と頭を下げるさげると、こう言いいいました。

先日せんじつは、ありがとうございました。

おかげさまで、子どもこどもお寺おてら引き取らひきとられ、わたしも成仏する事が出来できます。

つきましては、お礼にあなたさまの願いねがいを何でもかなえてさしあげましょう」

願い事ねがいごと聞いきいて、アメ屋の主人しゅじんはある事を思い出しおもいだしました。

「どの様な事でもかなうのなら、水が欲しいです。麹屋こーじや町ではむかしから水不足みずぶそく困っこまっていますので」

すると女の幽霊ゆーれいは、静かしずかにうなずいて言いいいました。

女物おんなもののクシが落ちおちているところを、掘っほってください」

それから数日後、アメ屋の主人しゅじん麹屋こーじや町で一本の赤いクシを拾いひろいました。

女物おんなもののクシか。・・・はっ、もしかするとここが!」

アメ屋の主人しゅじんがそこを掘りほり始めると、にわかに水が湧きわき出したのです。

その湧き水わきみずはいつまでもつきる事なく、麹屋こーじや町の人たちにとても喜ばよろこばれたという事です。

おしまい


麹屋
こうじる
トントン
叩く
主人
開ける
立つ
夜分
わける
言う
一文
差し出す
手渡す
無言
立ち去る
決まる
買う
来る
毎晩
思う
帰る
つける
抜ける
光源寺
げんじる
お寺
消す
行く
辺り
見回す
不気味
静まりかえる
暗やみ
赤ん坊
泣き声
響く
オギャー
ヒェーー
たすける
本堂
駆け込む
寝る
和尚
起こす
気づく
死ぬ
聞こえる
掘り起こす
埋める
死体
生まれる
売る
しゃぶる
母親
幽霊
不思議
引く
産む
育てる
枕元
現れる
下げる
先日
おかげ
子ども
引き取る
出来る
あなた
願い
かなえる
さしあげる
願い事
聞く
思い出す
かなう
水不足
困る
静か
うなずく
女物
落ちる
掘る
拾う
湧く
湧き水
つきる
喜ぶ

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元:地球くん

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