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はりうち

はりうち

江戸小話

金持ちかねもちのだんなが、はりを習いならい始めました。

何度か犬やネコに、はりを打っうってみたのですが、まだ人の体には打っうったことがありません。

「誰か、はりを打たうたせてくれねえかなあ。

ちゃんとツボに打っうって、体の調子ちょーしをよくしてやるんだが」

はりを打ちうちたくてうずうずしているところへ、たいこもちが通りかかりとーりかかりました。

「よっ、だんな、おひさしぶり。ごきげんいかがですか?」

たいこもちとは、お金持ちかねもちのだんなをおだてあげて、おこづかいをもらう芸人げいにんです。

「おお、いいところへきた。

どうせ、こづかいせんに困っこまっているんだろ。

まあ、おあがり。

実はね、はりを覚えおぼえたので、二、三本打たうたせてもらいたいんだ」

「はりですか。それはけっこうですねえ。

ゆうべは飲みのみ過ぎて、胃腸いちょー具合ぐあいがよくないんですよ。

ちょいと、一本お願いしましょう。

胃腸いちょーをなおしていただいた上に、おこづかいまでいただけるなんてありがたいね。

でもだんな、痛くないようにお願いしますよ」

たいこもちは座敷ざしきにあがって、腹を出しだしました。

「あははは、痛いもんか。

なにしろおれのはりは、上等じょーとーの銀のはりだからな。

まあせいぜい、蚊がとまったていどのものさ。

さあ、体を楽にして。

では、銀のはりを打つうつよ。

えい!

・・・ありゃ」

だんなははりをさして、首をかしげました。

「ありゃ? だんな、『ありゃ?』て、なんですか!」

はりは打てうてたのですが、力を入れいれすぎたために、はりはすっぽり入っはいってしまい、抜けぬけなくなってしまったのです。

「いや、心配するな。ちょっと、深く打ち込みうちこみすぎただけだ」

「だっ、だんな。はやく抜いぬいてくださいよう」

たいこもちの顔は、まっ青まっさおです。

「あわてるな。

こんな時のために、迎えむかえばりというのがある。

金の迎えむかえばりを打てぶてば、銀のはりがなんなく抜けるぬける、・・・はずだ」

本当ほんとーですかい? もう、『ありゃ?』は、なしですよ」

「心配するな。

さあ、この金の迎えむかえばりを・・・。えい! ・・・ありゃ?」

だんなはとっておきの金の迎えむかえばりを打っうったのですが、銀のはりが抜け出ぬけでてくるどころか、そのまま金のはりも入っはいったままになってしまったのです。

「だっ、だんなー。『ありゃ?』はなしって、言っいったでしょう」

「うーん。

よし、こうしよう。

二本とも値のはるはりだが、こづかい代わりかわりにやろう。

さあ、もう帰っかえっていいぞ」

「そんなー。・・・とほほほ」

このあとたいこもちは医者いしゃ行っいって二本のはりを抜いぬいてもらいましたが、その治療代は二本のはりを売っうってもまだ足りたりないものでした。

♪ちゃんちゃん

(おしまい)


金持ち
だんな
習う
打つ
調子
してやる
たいこ
通りかかる
ひさし
いかが
おだてる
こづかい
もらう
芸人
困る
あがる
覚える
ゆうべ
飲む
胃腸
具合
なおす
いただける
座敷
出す
上等
とまる
かしげる
打てる
入れる
入る
抜ける
打ち込む
抜く
まっ青
あわてる
迎える
本当
抜け出る
はなし
言う
代わり
帰る
医者
行く
売る
足りる

: N1

: N2

: N3

: N4

: N5

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「今日は何の日?」

20211028

元:地球くん

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