muksi - story thumb

--:-- / --:--
武蔵が淵(むさしがふち)

武蔵が淵(むさしがふち)

百物語

むかしむかし、可児川かにがわ(かにがわ→木曽川きそがわ水系すいけい)と言ういう川の近くちかくで、お酒を作っつくっ売っうっている酒屋さかやがありました。

この酒屋さかやの『恵土の華(えどのはな)』というお酒がおいしいとの評判ひょーばんで、遠くとーくから買いかい来るくる人も多くいました。

ある日の事、この酒屋さかや身なりみなり立派りっぱな若い侍がやって来やってきました。

「ごめん。これに酒をたのむ」

そう言っいって侍が差し出しさしだし徳利とっくりは、侍の身なりみなりとは違っちがっ安物やすもの徳利とっくりでした。

それから侍は毎日まいにちの様にお酒を買いかいたのですが、その度に差し出すさしだす徳利とっくり違いちがいます。

(なぜ、いつも違うちがう徳利とっくりなのだろうか?)

そして今日きょーも侍が出しだしたのは安物やすもの違うちがう徳利とっくりで、酒屋さかや主人しゅじんがふと見るみると泥で汚れよごれていました。

「あの、この徳利とっくり汚れよごれていますので、ちょっと洗っあらってきます」

酒屋さかや主人しゅじんが裏の井戸いど徳利とっくり洗うあらうと、何と中も泥で汚れよごれていたのです。

(酒好きの人が、こんな徳利とっくり使うつかうわけがない。・・・こいつは、おかしいぞ)

そこで主人しゅじんは店の若い者に、侍の帰りかえり追わおわせる事にしたのです。

酒屋さかやた侍は森の中に入っはいって行くと、やがて大きな淵の前に立ちたちました。

(あのお侍さま、あんなところで何をしているのだ? まさか、飛び込むとびこむつもりでは)

店の若い者がそう思っおもっていると、何と侍は本当に、

ドボーン!

と、淵に飛び込んとびこんだのです。

(わあ、本当にやりやがった)

店の若い者があわててその淵を覗きのぞき込んでみると、淵には侍の姿はなく、その代わりかわりにタライほどもある大きなスッポンが口に徳利とっくりをくわえて潜っもぐって行くところでした。

店の若い者から話を聞いきい酒屋さかや主人しゅじんは、腕組みうでぐみをして言いいいました。

「そう言えいえば、あの淵には水神すいじんさまをいると言わいわれている。

それに川のそばには、小さな祠がまつってある。

となると、あの徳利とっくり日頃ひごろ百姓ひゃくしょーたちがお供えおそなえするお神酒おみき(みき)つぼだな。

そして代金だいきんは、おさい銭さいせん違いちがいない。

今度こんどたら、わしが確かめたしかめてやろう」

しかしそれから、あの侍がお酒を買いかい来るくる事はなく、その代わりかわりにこんなうわさが広まりひろまりました。

水神すいじんさまの淵を酒を持っもった人が通るとーると、淵に引き込まひきこまれて二度とて来られないそうだ」

さあ、このうわさが広まるひろまる人々ひとびと怖がっこわがって、淵どころか可児川かにがわにも近づかちかずかなくなりました。

おかげで可児川かにがわ近くちかくで店を開いひらいている酒屋さかやにも、人がなくなったのです。

そんなある日、酒屋さかやへ一人の侍が尋ねたずねて来て言いいいました。

「これ主人しゅじん。この先の水神すいじんさまの淵に、大きなスッポンがて悪さをするそうじゃが、それは本当ほんとーか?」

この侍は、この辺りあたり治めるおさめる殿さまとのさま家来けらいでした。

「はい、本当ほんとーでございます。おかげで人が、通らとーらなくなりました」

「うむ。領内りょーないがさびれては、殿に申しわけもーしわけがない。何とかして、スッポンを退治せねば」

そこで侍は二人の家来けらい連れつれて、再び酒屋さかやへとやって来やってきました。

「これから、淵のスッポン退治に向かうむかう酒屋さかやお前おまえも酒を用意して、ついてまいれ」

こうして酒屋さかや主人しゅじんが侍たちと一緒にお酒を持っもって淵に行くいくと、さっそくお酒のにおいをかぎつけたのか、淵の中からブクブクとあやしい泡がてきました。

「さあ主人しゅじん、酒を出しだしてくれ」

侍は酒屋さかや主人しゅじんから徳利とっくり受け取るうけとると、それを淵の泡立つあわだつところへと放りほーり投げなげました。

そのとたん、淵の中からタライよりも大きなスッポンが姿を現しあらわして、酒の入っはいっ徳利とっくりを口にくわえたのです。

「よし。今だ!」

侍は淵に飛び込むとびこむ小刀こがたなでスッポンの首を切り落としきりおとし見事みごとスッポン退治をしたのでした。

それ以来いらい、この淵のそばをお酒を持っもっ通っかよっても、誰も襲わおそわれる事はありませんでした。

そしてその後そのご、この淵は殿さまとのさま名前なまえをとって、『武蔵むさしが淵』と呼ばよばれる様になり、酒屋さかやの『恵土の華』も、また売れるうれる様になったのです。

おしまい


可児川
木曽川
水系
言う
近く
作る
売る
酒屋
評判
遠く
買う
来る
身なり
立派
やって来る
たのむ
差し出す
徳利
違う
安物
毎日
今日
出す
主人
見る
汚れる
洗う
井戸
使う
こいつ
帰り
追う
出る
入る
立つ
飛び込む
思う
ドボーン
あわてる
覗く
代わり
タライ
スッポン
くわえる
潜る
聞く
腕組み
水神
まつる
日頃
百姓
お供え
お神酒
代金
さい銭
違い
今度
確かめる
広まる
持つ
通る
引き込む
人々
怖がる
近づく
おかげ
開く
尋ねる
本当
辺り
治める
殿さま
家来
領内
さびれる
申しわけ
連れる
向かう
お前
行く
におい
かぎつける
ブクブク
受け取る
泡立つ
放る
投げる
現す
小刀
切り落とす
見事
以来
通う
襲う
その後
名前
武蔵
呼ぶ
売れる

: N1

: N2

: N3

: N4

: N5

muksi, kanayomi

「今日は何の日?」

2021613

元:地球くん

muksi

MUKSI







Check Our Apps

download app on apple storedownload app on google play
© 2020 CopyrightiMuksiAll Rights Reserved.