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安珍清姫

安珍清姫

百物語

むかしむかし、安珍(あんちん)という名の若い旅のお坊さんぼーさんが、紀州きしゅー(きしゅう→和歌山わかやま県)の熊野くまの大社たいしゃ(くまのたいしゃ)へお参りをする途中とちゅーで日が暮れくれ困っこまっていました。

今夜こんや

宿

を、どこかに探ささがさねば」

安珍は、

庄屋しょーや

(しょうや)の家に泊めとめてもらいました。

この庄屋しょーやの家には清姫きよひめ(きよひめ)という一人娘ひとりむすめがいて、疲れつかれた安珍をやさしくもてなしました。

(素敵すてきお方おかた)

(何と美しい娘だろう)

清姫きよひめと安珍は、すぐに心が惹かひかれあいました。

しかし安珍は修行中で、女の人を好きすきになる事は許さゆるされません。

(駄目だめだ、駄目だめだ! わたしは修行中の身、女人にょにんに心を奪わうばわれてはならぬ!)

でも安珍は旅立つたびだつ前、清姫きよひめにこう言いいいました。

熊野くまのからの帰りかえりには、必ずここに寄りよります。・・・あなたに、会うあう為に」

「うれしい」

次の日、安珍は無事ぶじ熊野くまの大社たいしゃ着きつきましたが、熊野くまの僧侶そーりょ(そうりょ)たちに心の迷いまよい見抜かみぬかれてしまいました。

「安珍よ、仏の道を捨てるすてる言ういうのであれば、何も言わいわぬ。だが、そうでないのなら、迷いまよいから目を覚ませさませ!」

確かたしかに、わたしは修行中の身。女人にょにんに心を奪わうばわれるなど、あってはならぬ事」

安珍は仏の道を選ぶえらぶと、清姫きよひめへの思いおもい捨て去りすてさりました。

そして清姫きよひめとは二度と会わあわない様に、帰りかえりは別の道を行くいく事にしました。

ところが清姫きよひめは安珍との約束を信じしんじて、安珍の帰りかえりを今か今かと待ちまち続けています。

「安珍さま。安珍さまは、いつ戻っもどって来てくれるのかしら?」

清姫きよひめは何日も何日も待ちまち続けましたが、ついに待ちまちきれなくなって家を飛び出すとびだすと、通りかかっとーりかかっ旅人たびびとに声をかけました。

「あの、もし、熊野くまのもうでの若い旅のお坊さまに、お会いあいになりはしませんでしたか?」

「ああ、その方なら知っしっております。確かたしか、別の道を行かいかれたはず」

「別の道を! あんなに固い約束をしたのに。まさか、そんなはずが」

清姫きよひめは、夢中むちゅー街道かいどー走り出しはしりだしました。

朝も夜も休まやすま狂っくるった様に走りはしり続けて、そして日高ひだか川の渡し場わたしばまでた時、ようやく安珍の姿を見つけみつけたのです。

「安珍さまー。安珍さまー」

走っはしって来る清姫きよひめ気づいきずいた安珍は、頭を振っふっ自分じぶん言い聞かせいーきかせました。

(わたしは、修行中の身。清姫きよひめには、二度と会っあってはならないのだ!)

そして、船頭せんどー言いいいました。

船頭せんどー(せんどう)さん。はっ、早く船を出しだしてくだされ。早く、早く!」

自分じぶん追いかけおいかけているのを知っしっていながら船頭せんどーをせきたてる安珍をて、清姫きよひめ驚きおどろきました。

「安珍さまーっ。なぜ、どうして」

清姫きよひめ自分じぶんから逃げにげて行こうとする安珍に悲しみかなしみ、やがてその悲しみかなしみが激しい憎しみにくしみへと変わっかわっていったのです。

「安珍さま。これほど、これほど想っおもっているのに、なぜ逃げるにげるのです。・・・なぜ、なぜ逃げるにげるのじゃ!」

清姫きよひめは安珍が乗っのった船を追って、そのまま日高ひだか川へ飛び込みとびこみました。

そして安珍を追いかけるおいかける清姫きよひめは、いつの間にか恐ろしい大蛇おろちの姿になって川を渡っわたっていたのです。

「おのれ! にっくき安珍め!」

向こう岸むこーぎし着いついた安珍は船をおりると、夢中むちゅー走り出しはしりだしました。

そしてその後そのごを、大蛇おろちになった清姫きよひめ追いかけおいかけます。

安珍は走りはしり走っはしって、街道かいどーのそばにある道成寺どーじょーじというお寺おてら駆け込みかけこみました。

「恐ろしい大蛇おろち追わおわれております! どうかわたしを、この寺へおかくまいください」

「それならば」

お寺おてらの人たちは釣鐘つりがねをおろして、その中に安珍をかくまってくれました。

釣鐘つりがねの中に身を隠しかくした安珍は、静かしずかにお経を唱えとなえ続けます。

清姫きよひめ大蛇おろち道成寺どーじょーじ石段いしだんをうねうねと登るのぼると、山門さんもんをくぐって安珍を探しさがしました。

そしてついに、大蛇おろちは安珍が隠れかくれている釣鐘つりがね見つけみつけたのです。

見つけみつけた。いとしい人、もう離さはなさない」

大蛇おろち釣鐘つりがねに体をグルグルと巻きまきつけると、大きな口からまっ赤な炎を吐きはき続けました。

炎でまっ赤に染まるそまる釣鐘つりがねの中で、安珍は一心にお経を唱えとなえ続けます。

(清姫きよひめよ、許しゆるしてくれ! わたしにはあなたよりも、仏の道が大切たいせつなのだ!)

(安珍さま、もう決して離さはなさない。ずっと一緒よ)

やがて安珍は炎でまっ赤になった釣鐘つりがねの中で、焼け死んやけしんでしまいました。

おしまい

朗読者情報じょーほー 台湾たいわん居住者 Judy

日本にっぽん

20

年の生活をた後、本国ほんごく台湾たいわん戻っもどったジュディーは日本にっぽん台湾たいわん架け橋かけはしとなり、通訳、翻訳、日本語にほんご教師きょーしを経験後、現在げんざい日本語にほんご使いつかい様々さまざま分野ぶんやの録音に携わったずさわっています。

台湾たいわん日文配音者です。

朗読に関するご意見ご要望は

judy.yen1204@gmail.com

までお願いいたします。


坊さん
紀州
しゅう
和歌山
熊野
大社
たいす
途中
暮れる
困る
今夜
探す
庄屋
泊める
清姫
ひめる
一人娘
疲れる
もてなす
素敵
お方
惹く
好き
許す
駄目
女人
奪う
旅立つ
言う
帰り
寄る
あなた
会う
無事
着く
僧侶
迷い
見抜く
捨てる
覚ます
確か
選ぶ
思い
捨て去る
行く
信じる
待つ
戻る
飛び出す
通りかかる
旅人
かける
もうでる
知る
夢中
街道
走り出す
休む
狂う
走る
日高
渡し場
来る
見つける
気づく
振る
自分
言い聞かせる
船頭
出す
追いかける
せきたてる
見る
驚く
逃げる
悲しむ
悲しみ
憎しみ
変わる
想う
乗る
飛び込む
大蛇
渡る
おのれ
向こう岸
おりる
その後
走り
道成寺
お寺
駆け込む
追う
かくまう
釣鐘
おろす
隠す
静か
唱える
石段
登る
山門
くぐる
隠れる
離す
巻く
吐く
染まる
大切
焼け死ぬ
情報
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経る
本国
ジュディー
架け橋
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「今日は何の日?」

2021613

元:地球くん

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